COLUMN
当事務所では、法律雑誌を定期購読しておりますが、そのうちの1つであるNBLの1269号に、興味深い記事がありました。その記事の内容も踏まえて、当事務所が心掛けていることをお伝えできればと思います。
NBLの同号には、「法務部門の明日への道標(上)」というタイトルで、法務等担当者が覆面座談会を行っています(全3号の連載です。)。その中には、以下のような発言がありました(以下カッコ内は発言が記載されたページ数)。
何があっても一緒にやりきるんだという気概 (23頁)
理論家で、でも最後に逃げてしまう人が法務だと、自己防衛に走ってしまい、事業は前に進まなくなってしまう。(24頁)
1番いいアドバイスができるのは、逃げない法務パーソン (24頁)
どこまでだったら会社として受け入れられるかを、過去の経験から必死に考える (24頁)
これらの発言は法務部のご担当者の方々の発言ではありますが、当事務所が心掛けていることが集約されていました。
1 「自己防衛に走らず、逃げない。」
企業から相談を受けた弁護士は、事案に法律を適用して回答することが求められています。当事務所は、その際、企業の立場に立って、回答がビジネスを進めづらくしていないかという視点を考えるようにしています。また、法律を適用した結果、どうしてもビジネスを希望どおり実現できないと思われる場合には、どのような条件が充たされれば、ビジネスを希望どおり実現できるか、という点も併せて回答するようにしています。
「どのような条件が充たされれば」と記載するのは簡単ですが、条件を提示するためには、法律を適切に理解するだけでなく、ビジネスや背景を理解する必要があります。一見ビジネスを適法に行えない、あるいはリスクが大きいと思われる場合に、ビジネスを適法に、あるいはリスクを無視できる程度に軽減化する条件を示すのですから、その提示のためには、適法/不適法の境界や、企業が置かれた環境下で現実的に選択可能な条件を理解している必要があるのです。
これらは、弁護士にとり、可能であれば避けて通りたい部分です。適法/不適法の境界は、必ずしも一義的ではないため、多くの裁判例を調査してはじめて見えるものですし、ビジネスに精通しているとは言えない弁護士にとり、ビジネスやその企業が置かれた環境を理解するのは容易とは言えず、いずれも時間がかかるものです。何より、その条件提示について、弁護士自らがリスクを負うことになるため、逃げたくなるものです。
しかしながら、それを逃げて出した回答は、企業にとって使いづらい回答であることが明白です。不要と言っても良いかもしれません。
ですから、当事務所では、なるべく、「難しい」「不適法と思われる」、ではなく、「どうしたらできるのか」、という点を、ときに企業のご担当者と一緒に頭をひねりながら提示するように心掛けています。
上記記事は、その姿勢を勇気づけてくれるものでした。
2 「何があっても一緒にやりきるんだという気概」
上記記事では、「インハウスにしか至ることのできない境地」としてこの発言がありました。もちろん、外部の弁護士は当事者ではありませんが、それでも上記気概は必要不可欠だと思っています。
外部の弁護士も、ビジネスを実現するための重要な機能であると思っていますが、インハウスの弁護士と同様、一緒にやりきるんだという気概を持つことで、その機能を、逃げずに全うできると考えています。
ですから、当事務所は、何があっても一緒にやりきるんだという気概を常に持つように心掛けています。
ホームページのトップに、「愚直にまっすぐに」というモットーを記載しました。上記記事がこのモットーを具体化していたので、引用しつつ、コラムとさせていただきました。
コラム内で「心掛け」と記載したのは、自分でも常にできているか、自信がないためです。「提示しています。」「常に持っています。」と言い切れるように、気持ちを新たにしてこれからも業務を行ってまいります。
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